2011年07月29日 17:34

ごく小さい幼魚。
(photo/J.E.Randall)

未成魚。
わずかに輪郭の赤が残っている。
(photo/J.E.Randall)

完全な成魚。
(photo/J.E.Randall)
学名:Platax pinnatus (Linnaeus, 1758)
和名:アカククリ
英名:ピンネイト・スペードフィッシュ Pinnate spadefish
全長:37cm
東部インド洋~メラネシアに分布
真っ黒い体に、真っ赤な縁取りの幼魚が有名。成長と共に色彩は変わり、成魚では全く異なる色模様になる。特徴的な幼魚の色彩は、捕食されないためのベーツ型擬態である。毒性のあるヒラムシ(ヒラムシ参考画像)に擬態し、色彩から動きまで真似ている。成長すると体中央部が灰色に変色し始め、黒みと輪郭の赤は薄れていき、画像のような成魚になる。成魚は他のツバメウオ類と比較して、吻部が突出するので見分けは容易。幼魚は岩陰などに単独で見られるが、成魚になると数匹から数十匹の群れで行動する。食性は雑食性。
幼魚は特異な色彩をしているので、観賞魚として人気がある。本種は飼育難易度についても特異で、成長と共に飼育難易度が劇的に変化する魚でもある。ごく小さい幼魚は非常に餌付き難く、人工餌に餌付く可能性はかなり低い。アサリや細かく刻んだゴカイを食べるという報告があるという程度で、幼魚のこれといった餌付け法は確率されていない。そのため、餌付かないまま死んでしまうことがほとんど。しかし、これが体中央が変色し始めるようなサイズになると、途端に飼育難易度は下がってくる。そのサイズだと、クリルや冷凍餌に餌付かせることは、それほど難しいものではない。それらを食べ始めてしまえば、人工餌にも移行可能だ。さらに大きく成長したものは、だいたい何でも食べてくれる。飼育難易度であれば、大きい個体の方が有利だが、観賞的に魅力的なのは幼魚なので、このあたりが大きな問題である。幼魚を確実に餌付かせる方法があれば、飼育を楽しみたい人は多いだろう。
種小名は「翼のある」という意味。おそらく未成魚の長大なヒレに由来しているのだろう。英名も同様。和名は特徴的な幼魚の色彩から。
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コメント
delphinus | URL | F3Dgw1fA
英語版wikipediaでPlatax pinnatusを検索すると、たぶんアクアリストが書いたであろう、怨嗟に満ちた記事がヒットします。「(この魚を買うことは)ほぼ全ての場合、酷い選択となる。最初の数日で死ぬ」とか、「他の魚にヒレかじられると、餌付くチャンスがほぼなくなってしまう」「白点病やエラムシ持っているので、到着したら絶対に淡水浴をかけろ(you MUST...)」とか。アカククリ幼魚に淡水浴かけるのは怖いな。ただでさえ餌食べないのに、淡水浴は追い打ちになりそうです。
( 2011年07月31日 12:27 [Edit] )
ケツメ | URL | V0Zz7F9Q
超巨大なケヅメリクガメ軍団と生活している『ケヅメ所長』
と申します。
デカ盛りが大好きでフードファイターもしています。
とても綺麗ですね、観ているだけで涼しくなりますね。
飼育頑張ってください。
また遊びに来ます。
( 2011年07月31日 15:34 [Edit] )
雪風 | URL | -
■delphinusさん
あちらのアクアリスト達も同意見でしょうね。
アカククリの幼魚は、ポリプ食チョウチョウウオなどより、遥かに餌付け難易度が高いです。もしも確実に幼魚を餌付ける方法を発見できたら、アクア史に名が残ること間違い無しかと。
■ケツメさん
見ているだけで涼しくなりますか?
それは良かった(笑)。
( 2011年08月01日 11:10 )
もちのすけ | URL | -
アカククリの幼魚カラーは
ヒラムシさんの擬態だったんですね!!
初めて知りました。
ナンヨウツバメの枯葉擬態は納得いってましたが
なぜ??アカククリはこんなに派手なんだろうと??
いつも勉強になりますm(__)m
( 2011年08月01日 15:31 )
雪風 | URL | -
いつかはアカククリの幼魚を海中で観察してみたいですね。
飼育できないから、採集はせずに見るだけ(笑)。
( 2011年08月02日 10:53 )
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