2011年03月25日 16:48

(photo/J.E.Randall)

(photo/J.E.Randall)

幼魚。
学名:Chaetodon lunulatus Quoy & Gaimard, 1825
和名:ミスジチョウチョウウオ
英名:パシフィックピンストライプド・バタフライフィッシュ Pacific Pinstriped butterflyfish
全長:14cm
西部、中部太平洋に分布
サンゴ礁域で、最も普通に見られるチョウチョウウオのひとつ。ミスジチョウチョウウオの属するCorallochaetodon亜属には、4種類が属するが、いずれも見事な卵形の体形が特徴的だ。また4種とも細いラインが多数体側に入るのが、体形と共に共通の特徴となっている。幼魚は尾柄に黒斑があるが、成長と共に消失する。主食はサンゴのポリプや共肉で、特にミドリイシ類を好み、餌となるサンゴ周辺を縄張りとする。サンゴのポリプの他、付着藻類も食べる。付着藻類を食べるのは、主食のサンゴでは得られない成分を補給するためではないかと思われる。通常は単独、もしくはペアで生活する。成魚はほとんどがペアで行動するようで、海中でもペアでの観察例が多い。
非常に美しいチョウチョウウオで、特に成魚の美しさは素晴らしいものがある。観賞用としては古くからアクアリストに親しまれている。が、観賞魚としてはポピュラーでありながら、食性がポリプ食(サンゴ食)ということで人工餌への餌付けが難しく、現在も切り花的に消費される個体が多いのは残念な限り。だが人工餌への移行が難しくても、生アサリには意外と容易に餌付く(まともな個体の場合)。何が何でも人工餌に餌付けなくてはならない、といった近視眼的餌付けでは、ポリプ食チョウチョウウオの飼育はスムーズにいかないことがある。もちろん人工餌に餌付けることができればベストだ。しかし個体や種類によっては、人工餌に餌付いたにもかかわらず、痩せてくることがある。これは、人工餌がうまく消化できないためではないかと思われる。このような場合、アサリに戻して飼育した方が無難だ。この他、水槽面の一部のコケを落とさずに、そのままにしておくこと。意外と付着藻類(茶ゴケ等が良い。藍藻、いわゆるシアノバクテリアは食べない)を突いている場面をみるので、ある程度コケを残しておけば補助食として使える。
幼魚期は痩せやすいので、こまめにアサリを与えるとよい。また自家採集の幼魚は人工餌に餌付く確率が高いが、餌付いても太らない、あるいは成長があまりしないといったことが起こり易い。幼魚期はアサリを与えた方が無難に飼育できるだろう。
いずれにしても、餌はこまめに与えてやろう。餌の質と量が適正なら、成長は結構はやい。あまり成長がみられない場合は、餌の質か量が適正でない可能性が高い。同属同種とは激しく争うことが多いが、サイズや収容順序、他種との組み合わせなどを考えてやれば、できないことはない。他種との混泳は、わりと大丈夫なこともあるが、あまり多くの種との混泳は控えた方がよい。混泳させるなら、3~4匹程度の範囲がよい。うまく混泳させると、餌食いで競い合うので、食欲増進の効果が期待できる。反対に1匹のみだと、最初は餌食いが良くても、徐々に食欲が落ちてくることがある。このあたりのサジ加減は、経験を積むと分かってくるだろう。水槽サイズは、1匹なら45㎝水槽でも飼育できるが、混泳となると60㎝以上の水槽が適している。生餌を主体にして飼育することになるので、水換えはこまめに行なうようにしたい。
購入する場合は、痩せていないかどうか、体色が黒っぽくないか、口が腫れていたり、充血していないかなどに注意する。特に口の状態は重要で、ここが傷付いていると餌付けができない、どうしてもそういう個体を入手しなければならない場合は、エルバージュなどで薬浴して治療してから餌付けとなる。が、そういった方法はリスクが高く、できるだけ避けたい。特に幼魚では致命的なので、そういう個体には十分気を付ける。餌付けや体力などを考え、なるべく入荷して間もない個体から選ぶのがベストだ。
種小名は『新月』を意味する。本種の特徴的な体形を表したものだ。英名は体側に入るストライプ模様から。和名は、頭部に入る3本のラインから。
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