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ティンカーズ・バタフライフィッシュ

2007年01月12日 14:26

tinker.jpg
成魚個体(photo/J.E.Randall)

tinkermiliaris.jpg
C.tinkeri と C.miliaris との交雑個体(photo/J.E.Randall)

学名:Chaetodon tinkeri  Schultz, 1951
和名:なし
英名:ティンカーズ・バタフライフィッシュ Tinker's butterflyfish
全長15cm
ハワイ諸島に分布

ハワイ諸島のみに分布する固有種。白と黒の大胆な模様が特徴的。浅くても水深30m、深いところでは100m前後にまで生息する。浅場に多いチョウチョウウオの中にあっては、深海性といってもよい種である。通常、単独かペアで行動し、群れを作ることはない。雑食性で、底生小動物などさまざまなものを食べる。自然下では稀に、ミリアリスやシテンチョウとの交雑がみられる。なお、本種やインディアン・バタフライ、バーゲス・バタフライなどは同じ仲間で「ロア亜属」という亜属に分類される。

観賞用としては、かなり前から知られている種。採集に手間がかかることから高価で、以前より全く価格は下がっていない。丈夫で餌付きやすいチョウチョウウオだが、深場の種なので高水温には注意したい。22~24℃が適水温。性格は強く、他のチョウチョウウオとの混泳でも負けることはほとんど無い。そのため、ヤッコなどと組み合わせて飼育されることも多い。しかしながら、気の強い反面打たれ弱く、いったん劣勢になると、みるみるうちに調子を崩してしまうことがよくある。ヤッコなどとの混泳では、見た目に平気なように見えても、徐々にストレスが溜まるらしく、ある日突然死んでしまうことがある。本種が丈夫な種であるにもかかわらず、年単位の長期飼育があまりみられないのは、混泳で無理をさせてしまうことが原因。精神的ダメージは回復しづらいため、そうならないように本種をメインに据えた飼育をするのがベスト。またロア亜属同士の混泳も、基本的にはおすすめしない。当初はよくても、長期的に何か問題が起こる可能性が大きい。なおメタルハライドランプのような、大光量の照明が付いた水槽で飼育していると、白い部分が黒ずんでしまうことがある。

種小名は人物名から。英名もそこから付けられている。ハワイアン・バタフライフィッシュ Hawaiian butterflyfish と呼ばれることもある。
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コメント

  1. HTanaka | URL | -

    分布

     飼育に関して大変参考になります。まだ飼った経験のない魚でした。

     マーシャル諸島に棲む個体群は背鰭の黄色い部分が広くなっていますし、ツアモツ諸島で記録された個体群にも同様のへ変化が見られます。

     またグアムで撮影された個体はハワイのと何ら変わるところがありませんでした。しかしグアムの記録はその1個体のみで、分布域に入れて良いとは言えないでしょう。

  2. 雪風 | URL | cKg/74mY

    ツアモツでも記録されているのですか。
    グァムのものは、色彩変異個体なのでしょうね。

  3. HTanaka | URL | -

     グアム産の個体はハワイ産のと外見はそっくりでした。ここで見つかったという事に少し疑問を感じます。というのも、Yellow-crowned BF はこの C. tinkeri から派生して生まれて、ここで繁栄していると思われるからです。

     つまり C. tinkeri x C. burgessi = C. flavocoronatus という説ですね。

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