2007年01月05日 01:22

ハナミノカサゴ(photo/J.E.Randall)

ネッタイミノカサゴ(photo/J.E.Randall)

シマヒメヤマノカミ(photo/J.E.Randall)
MA誌42号がカサゴ特集といい機会のため、ここでより詳しく解説を。
■水槽サイズ・システム
シマヒメヤマノカミ、ヒレボシミノカサゴは、最大でも15cmほど(水槽内では12cm前後)と比較的小型で、ヒレの軟条も長く伸びない。このため、案外小型の水槽でも飼育が可能である。さすがに30cm水槽では少々無理だが、45cmあれば十分といえる。
次に中型種といえるキリンミノカサゴ、ネッタイミノカサゴ、フリルフィン・ターキーフィッシュ、キミオコゼ、セトミノカサゴなどでは、60cm水槽が必要になる。できれば60×45×45cm水槽が用意できるならベスト。特に、ネッタイミノカサゴやキミオコゼのようなヒレの軟条が伸長する種は、広い水槽で飼育した方が美しい姿を維持しやすい。狭い水槽では軟条が曲がったり、切れてしまうことがある。
ハナミノカサゴやミノカサゴは、最大で40cm近くにまでなる、ミノカサゴ類では最も大型の種類だ。満足に飼育するには、90cm規格水槽以上のサイズでなくてはならない。大型の成魚を飼育するなら、120cm水槽が必要だ。幼魚は60cm水槽でも十分に飼育できるが、ヒレの綺麗に伸びた成魚に仕上げようと思うなら、最初から大きめの水槽で飼育した方が良い。
ろ過システムは、上部、外部、外掛けなどいずれも使える。ミノカサゴは底砂を掘り返すことがないので、底面ろ過も有効だ。小型水槽には外掛け、それ以上は上部、外部、底面などを好みで使用すればよい。なおミノカサゴはあまり強い水流は好まないため、フィルター吐出口からの水流が強い場合には、何らかの水流を弱める工夫をする必要がある。照明は蛍光灯で十分。レイアウトは、サンゴ岩でもライブロックでもかまわない。カサゴだからといって岩組みを多くしてしまうと、ヒレボシミノカサゴのような臆病な種は見れなくなってしまうし、ネッタイミノカサゴのようなヒレの長い種には窮屈な感じになってしまう。岩組みはシンプルに。なおオーバーフロー水槽でない限り、ヒーターにはヒーターカバーを付けておく。ミノカサゴはそうでもないが、多くのカサゴ類はヒーターに直接触れてしまい、火傷のようなケガを負うことがあるので注意したい。水温は温帯種(エボシカサゴ、ヒメヤマノカミなど)を除き、25℃前後で問題ない。
■餌付け
カサゴ類は生きたエビや小魚を主食としているので、水槽飼育でもそれらを与えることになる。しかしミノカサゴ類は、いわゆる「死に餌」に餌付けることが容易なカサゴなので、なるべくそちらに餌付けるようにする。そうすると、飼育はかなり楽になる。
餌付けやすいのは幼魚から10cm前後のサイズの個体までが最もやりやすい。用意するものはクリルのみ。まずクリルに水を吸わせてふやかしておく(沈みやすくするため)。個体サイズがそこそこあり、そのまま食べられそうなら、そのままのサイズで(多少小さくすると成功率が高い)。幼魚なら、口に入りそうなサイズにクリルを小さくする。そして、静かに目の前に落としてやる。やや難しくなるが、この際、微妙に水流に舞う感じになっているとベスト。すぐに餌付く個体なら、このときに食べるだろう。食べないまでも、目でクリルを追ったり、近くまで寄って行くような個体は脈アリ。大抵は一週間ほどで餌付いてしまうだろう。小さい幼魚の場合は、やや大きめの隔離ケース内で餌付けるのが、やりやすくていい。餌付けの際に残餌が出たら、すぐに取り除いておくこと。掃除屋として、ヤドカリを入れておくのもいい。ヤドカリならば、エビと違ってミノカサゴに食べられる心配は無い。
大型個体の場合は、小アジやイカの短冊などを長いピンセットで持ち、目の前で揺らしてやると食べることが多い。なおイワシやマグロの切り身などは脂分が多いため、水を汚すので与えないほうがよい。
頑としてクリルに餌付かない個体も稀にいるので、そういった個体には生きたエビや小魚を給餌することになる。種類的には、ヒレボシミノカサゴがやや餌付きにくい。逆に最も簡単なのは、キリンミノ、ネッタイ、ハナミノの3種。給餌の間隔は、成魚では通常、一日おきぐらいが適当。幼魚の場合は、毎日食べさせてやる。幼魚の頃から馴らしていくと、粒状の人工餌まで食べるようになることもある。
■毒と取り扱い
ミノカサゴ類は、どの種もヒレの棘に強い毒を持っている。最も目立つのは背ビレの棘条部だ。腹ビレ、尻ビレの棘にも毒があるが、ここで刺されたという話は聞かない。大きな胸ビレも危険な印象があるが、ここは軟条部であり、毒は無く刺されることも無い。
水槽飼育の際、最も刺されやすいのが、コケ掃除や水換えなどのメンテナンス時である。水槽に手を入れる際には、ミノカサゴの動向によく注意しておいたり、網で隅に追いやっておいてからにするとよい。一旦ミノカサゴを捕獲してからメンテナンスを行えば事故も起こらない。捕獲する場合は、なるべく大きめのプラケースで掬うか、網を使う場合は素早く掬ってヒレにダメージを与えないようにしたい。掬う場合、ハナミノカサゴなどは毒のある背ビレを立てて威嚇してくる場合もある。こういった攻撃姿勢を見せる個体の扱いは、特に注意すること。
刺された場合は、すみやかに病院に行って治療を受けること。なお、毒はタンパク毒なので熱分解する。そのため、熱い湯(火傷しない程度)に患部を30分~1時間ほど浸けておくと痛みがかなりやわらぐ。刺した個体が小さい場合は、熱湯処置で痛みが消えることが多い。
■混泳など
ミノカサゴ同士はサイズが極端に違わなければ、大抵の場合は何の問題もなく混泳ができる。これは同種異種を問わず可能だ。ただし、海中では繁殖期を迎えたオス同士が、メスを巡って激しく争うことが知られている。水槽内ではそこまでの様子は確認されていないため、まず心配はいらないと思われる。
他のグループの魚種との混泳も、サイズを合わせれば組み合わせられるパターンは意外に多い。大型ヤッコやチョウチョウウオ、ハギ、ハタなど、ミノカサゴの口に入らないものであれば同居はできる。しかしながら、ヤッコやチョウチョウウオ、ハギは、ものによってはミノカサゴの長いヒレを突いたりすることもある。混泳させる場合は、どんな場合でも十分に注意した方が良い。ミノカサゴを綺麗に飼育したいのであれば、ミノカサゴだけで飼育するのがベストといえる。
シマヒメヤマノカミ、ヒレボシミノカサゴは、最大でも15cmほど(水槽内では12cm前後)と比較的小型で、ヒレの軟条も長く伸びない。このため、案外小型の水槽でも飼育が可能である。さすがに30cm水槽では少々無理だが、45cmあれば十分といえる。
次に中型種といえるキリンミノカサゴ、ネッタイミノカサゴ、フリルフィン・ターキーフィッシュ、キミオコゼ、セトミノカサゴなどでは、60cm水槽が必要になる。できれば60×45×45cm水槽が用意できるならベスト。特に、ネッタイミノカサゴやキミオコゼのようなヒレの軟条が伸長する種は、広い水槽で飼育した方が美しい姿を維持しやすい。狭い水槽では軟条が曲がったり、切れてしまうことがある。
ハナミノカサゴやミノカサゴは、最大で40cm近くにまでなる、ミノカサゴ類では最も大型の種類だ。満足に飼育するには、90cm規格水槽以上のサイズでなくてはならない。大型の成魚を飼育するなら、120cm水槽が必要だ。幼魚は60cm水槽でも十分に飼育できるが、ヒレの綺麗に伸びた成魚に仕上げようと思うなら、最初から大きめの水槽で飼育した方が良い。
ろ過システムは、上部、外部、外掛けなどいずれも使える。ミノカサゴは底砂を掘り返すことがないので、底面ろ過も有効だ。小型水槽には外掛け、それ以上は上部、外部、底面などを好みで使用すればよい。なおミノカサゴはあまり強い水流は好まないため、フィルター吐出口からの水流が強い場合には、何らかの水流を弱める工夫をする必要がある。照明は蛍光灯で十分。レイアウトは、サンゴ岩でもライブロックでもかまわない。カサゴだからといって岩組みを多くしてしまうと、ヒレボシミノカサゴのような臆病な種は見れなくなってしまうし、ネッタイミノカサゴのようなヒレの長い種には窮屈な感じになってしまう。岩組みはシンプルに。なおオーバーフロー水槽でない限り、ヒーターにはヒーターカバーを付けておく。ミノカサゴはそうでもないが、多くのカサゴ類はヒーターに直接触れてしまい、火傷のようなケガを負うことがあるので注意したい。水温は温帯種(エボシカサゴ、ヒメヤマノカミなど)を除き、25℃前後で問題ない。
■餌付け
カサゴ類は生きたエビや小魚を主食としているので、水槽飼育でもそれらを与えることになる。しかしミノカサゴ類は、いわゆる「死に餌」に餌付けることが容易なカサゴなので、なるべくそちらに餌付けるようにする。そうすると、飼育はかなり楽になる。
餌付けやすいのは幼魚から10cm前後のサイズの個体までが最もやりやすい。用意するものはクリルのみ。まずクリルに水を吸わせてふやかしておく(沈みやすくするため)。個体サイズがそこそこあり、そのまま食べられそうなら、そのままのサイズで(多少小さくすると成功率が高い)。幼魚なら、口に入りそうなサイズにクリルを小さくする。そして、静かに目の前に落としてやる。やや難しくなるが、この際、微妙に水流に舞う感じになっているとベスト。すぐに餌付く個体なら、このときに食べるだろう。食べないまでも、目でクリルを追ったり、近くまで寄って行くような個体は脈アリ。大抵は一週間ほどで餌付いてしまうだろう。小さい幼魚の場合は、やや大きめの隔離ケース内で餌付けるのが、やりやすくていい。餌付けの際に残餌が出たら、すぐに取り除いておくこと。掃除屋として、ヤドカリを入れておくのもいい。ヤドカリならば、エビと違ってミノカサゴに食べられる心配は無い。
大型個体の場合は、小アジやイカの短冊などを長いピンセットで持ち、目の前で揺らしてやると食べることが多い。なおイワシやマグロの切り身などは脂分が多いため、水を汚すので与えないほうがよい。
頑としてクリルに餌付かない個体も稀にいるので、そういった個体には生きたエビや小魚を給餌することになる。種類的には、ヒレボシミノカサゴがやや餌付きにくい。逆に最も簡単なのは、キリンミノ、ネッタイ、ハナミノの3種。給餌の間隔は、成魚では通常、一日おきぐらいが適当。幼魚の場合は、毎日食べさせてやる。幼魚の頃から馴らしていくと、粒状の人工餌まで食べるようになることもある。
■毒と取り扱い
ミノカサゴ類は、どの種もヒレの棘に強い毒を持っている。最も目立つのは背ビレの棘条部だ。腹ビレ、尻ビレの棘にも毒があるが、ここで刺されたという話は聞かない。大きな胸ビレも危険な印象があるが、ここは軟条部であり、毒は無く刺されることも無い。
水槽飼育の際、最も刺されやすいのが、コケ掃除や水換えなどのメンテナンス時である。水槽に手を入れる際には、ミノカサゴの動向によく注意しておいたり、網で隅に追いやっておいてからにするとよい。一旦ミノカサゴを捕獲してからメンテナンスを行えば事故も起こらない。捕獲する場合は、なるべく大きめのプラケースで掬うか、網を使う場合は素早く掬ってヒレにダメージを与えないようにしたい。掬う場合、ハナミノカサゴなどは毒のある背ビレを立てて威嚇してくる場合もある。こういった攻撃姿勢を見せる個体の扱いは、特に注意すること。
刺された場合は、すみやかに病院に行って治療を受けること。なお、毒はタンパク毒なので熱分解する。そのため、熱い湯(火傷しない程度)に患部を30分~1時間ほど浸けておくと痛みがかなりやわらぐ。刺した個体が小さい場合は、熱湯処置で痛みが消えることが多い。
■混泳など
ミノカサゴ同士はサイズが極端に違わなければ、大抵の場合は何の問題もなく混泳ができる。これは同種異種を問わず可能だ。ただし、海中では繁殖期を迎えたオス同士が、メスを巡って激しく争うことが知られている。水槽内ではそこまでの様子は確認されていないため、まず心配はいらないと思われる。
他のグループの魚種との混泳も、サイズを合わせれば組み合わせられるパターンは意外に多い。大型ヤッコやチョウチョウウオ、ハギ、ハタなど、ミノカサゴの口に入らないものであれば同居はできる。しかしながら、ヤッコやチョウチョウウオ、ハギは、ものによってはミノカサゴの長いヒレを突いたりすることもある。混泳させる場合は、どんな場合でも十分に注意した方が良い。ミノカサゴを綺麗に飼育したいのであれば、ミノカサゴだけで飼育するのがベストといえる。
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コメント
松井 | URL | -
昔、5cmくらいのと3cmくらいのハナミノを掬ってきて飼ってました。
3cmのは餌が大変で、すぐ逃がしましたが、鰭が長くてかわいかった。
( 2007年01月05日 23:05 )
Kazu | URL | 9K64Lzaw
雪風さん、遅ればせながら、明けましておめでとうゴザイマス。
今年もよろしくおながいいたしますね。
新年早々、飛ばしてますね(笑)。お互い、がんばっていきましょう!
( 2007年01月06日 20:53 [Edit] )
雪風 | URL | cKg/74mY
■松井さん
ハナミノのチビは可愛いですよねぇ。
見つけると、ついつい捕獲してしまいます。
■Kazuさん
昨年は色々とありがとうございました。
今年も宜しく御願い致します。
何故か今年の正月はガンプラ祭りになっております(笑)
( 2007年01月07日 22:31 [Edit] )
PAND | URL | -
はじめまして^^
今ミノカサゴ類を飼おうとしているのですが、口に入らなければ混泳できると思っていいのでしょうか?
心配なのはスカンクシュリンプ約8センチ、デバスズメ約6センチ、ミズタマハゼ約8センチです。
( 2007年02月07日 17:12 )
雪風 | URL | -
PANDさん、いらっしゃいませ。
基本的に口に入らなければ、混泳は可能です。スカンクシュリンプはクリーナーなので、襲われる心配は少ない(絶対ではありません)ですが、デバスズメとミズタマハゼは危ないですね。ミノカサゴを小さめなものにすれば、当面は大丈夫でしょう。しかし、ミノカサゴが成長すれば、特に細長いハゼは食べられやすくなります。そのタンクメイトでは、あまりおすすめできないと言えます。
( 2007年02月07日 20:11 )
KW | URL | -
しばらくぶりです
ツノダルマオコゼに投稿したものです。あのときのオニダルマは今も元気でに餌をねだってきますよ。
さて、今日は質問です。
以前ウツボにはまっていた時に、イカは繊維質がタコと違い(どうだったか忘れました・・)与えてはいけないと聞いていたので、現在もカサゴ類に与えないようにしています。
消化不良などは目立っていませんか?大丈夫そうならばさほど水質を悪くしなさそうなので使ってみようかと思っています。
現状の主力は活餌でエビ、いわゆる死に餌でアジ、キビナゴ、ハゼの開き、シバエビ(無頭)、小型種にはクリル等です。
( 2007年09月12日 11:40 )
雪風 | URL | cKg/74mY
KWさん、ご無沙汰です。
オニダルマ、元気なようでなによりです。
イカの切り身ですが、脂分もほとんど無いですし、あまり水が汚れないのでいい餌だと思いますよ。うちのツノダルマとサメにも、一時期イカの切り身をよく与えてました。今はスーパーの特売で買ってきた小アジになってますが。というわけで、イカをカサゴ類に与えても、特に問題は無いと思いますよ。というか、イカは低脂なので、肥満防止にもなるので良いのではないでしょうか。
最近は飼育中のボロカサゴも冷凍魚に慣れたので、餌やりが非常に楽になりました。
( 2007年09月12日 19:48 [Edit] )
Tetsuo | URL | -
私はかなり長い間冷凍イカをサンゴ・イソギンチャク・魚の餌に使っていました。私の経験でも生餌にしては水が汚れないの良い餌だと思っています。
ただ、私の場合は冷凍イカの足を使います。サンゴの場合はさらに切り傷をつけて、そこにストロチウムとヨウ素を染み込ませてからあげます。
( 2007年09月12日 22:21 )
KW | URL | -
ありがとうございます
イカよさそうですね。何せ魚系を与えた後は一時的に水面に泡が目立つようになりますから。アニサキスが怖いですが生ではなく冷凍後ならばその心配もなさそうです。解凍分が残っても自分で食べれるし(笑)
ボロカサゴが冷凍に慣れたのですか!いいですね。うちのボロはまだ生餌です。同様に「生餌しか」と言われるハダカハオコゼは割とクリル等に餌付くの早いんですけどね。
( 2007年09月13日 12:05 )
雪風 | URL | cKg/74mY
■Tetsuoさん
イカに微量元素を染み込ませる方法は初めて聞きました。どのような割合で添加するのか興味ありますね。
■KWさん
ボロは冷凍餌に慣れたといっても、やはり魚の形状をしていないと駄目です。イカには見向きもしませんが、小アジには飛びついてきます。餌の見た目も大事なのだなと思いますね。オコゼは慣れてしまえば、どんなものでも食べますけど。
( 2007年09月13日 13:19 [Edit] )
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