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ヒレナガヤッコ

2007年10月30日 22:54

Ge-wat-male.jpg
オス個体(photo/J.E.Randall)

Ge-wat-female.jpg
メス個体(photo/J.E.Randall)

学名:Genicanthus watanabei (Yasuda & Tominaga, 1970)
和名:ヒレナガヤッコ
英名:ブラックエッジド・エンゼルフィッシュ Blackedged angelfish
全長18cm
西部太平洋に分布

オス、メス共に美しい青白い地肌が特徴。標本写真では色褪せてしまっているが、生時は青白く輝いて美しい。メスにはこれといった模様が入らないが、オスは体側に白と黒のストライプ模様が入る。この属のヤッコとしては比較的小型で、大型のオス個体であっても20cmを超えることはまずない。水深20mより深い場所でみられ、80mの深さでも確認されている。動物プランクトンなどの他、クラゲなども捕食する。

観賞魚として比較的よく入荷する。あまり大型の個体はみられず、幼魚やメス個体の入荷が多い。深場で採集されるため、ショップで減圧症が出ている個体もよくみられる。入手の際は十分に気をつけたい。小さめでまともな個体なら、特に何の苦労もなく人工餌に餌付くことが多いが、大きめの個体はダメージを受けていることが多く、きちんと餌付くまでに立て直すのが難しい。深場に棲む種なので、水温は23℃ほどが理想。高くても26℃を超えないようにしたい。27℃以上は危険水温だ。本種は性格的に多少弱い面があり、混泳相手は慎重に選びたい。自分より強い魚がいると、オスがメス化してしまいやすい。タテジマヤッコの項でも述べたが、なるべく本種をメインにしてやりたいところである。

種小名は人物名。英名は、背ビレと尻ビレが黒く縁取られるところから。和名は、オスの長く伸びる尾ビレに由来している。
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タテジマヤッコ

2007年10月27日 03:30

Gelam_m1.jpg
オス個体(photo/J.E.Randall)
尾ビレの上下は黒くない。腹ビレは黒い。

Gelam_f0.jpg
メス個体(photo/J.E.Randall)
尾ビレの上下が黒い。腹ビレは白。体側のラインが少々異なる。

学名:Genicanthus lamarck (Lacepède, 1802)
和名:タテジマヤッコ
英名:ラマルクズ・エンゼルフィッシュ lamarck's angelfish
全長25cm
西部太平洋に分布(インドネシアのインド洋側でもみられる)

遊泳性のヤッコであるゲニカントゥス属の中でも、最初に記載された種である。本属のヤッコは、ヤッコ類の中では珍しく、雌雄で明確に体色が異なるのが特徴。その中にあって本種は、他のゲニカントゥスに比べると、雌雄差はさほど劇的なものではない。ヤッコの常として、小さいうちは全てメスで、群れの中で強く大きい個体がオスへと性転換する。一夫多妻型のハーレムで生活し、海中を泳ぎつつ、主に動物プランクトンなどを摂取。また、他属のヤッコのように、付着生物なども食べたりする。水深10~35mの範囲で、最もよくみられる。

観賞魚として古くから知られる種。遊泳性であるために、小型の水槽では飼育できない。最低でも90cm水槽から。大きめな個体であれば、120cm以上の水槽が必要となる。ケニカントゥス属のヤッコは、大きな個体だと餌付けに難儀するため、なるべく小さめのサイズの個体を選んで飼育するのがよい。また、やや深場から採集されるため、入手の際は減圧症に注意する。飼育上の注意点は、水質の悪化に弱く、高水温にも耐性が低いため、その点に十分気をつけること。餌はフレークや顆粒状の人工餌が適している。人工餌を食べない場合は、匂いの強いクリルやアマエビのミンチ、最終手段として生きたイサザアミを与えてみる。小型の個体であれば、さほど苦労せず人工餌に餌付くはずである。広めの水槽で状態良く飼育すれば、オスは尾ビレのフィラメントが長く伸び、優美な姿を楽しめる。あまり大型ヤッコなどとの混泳には向いておらず、なるべくゲニカントゥスを主役にした混泳を組み立てるべきだ。

種小名は人物名。英名も同様。和名はその特徴的な体側の模様から。

うちは「魚屋」です

2007年10月23日 23:12

このブログは、サンゴの記事がすごく少ないですよねぇ。
ミドリイシのことなんか、これっぽっちも書いてないし。
それは私が「魚屋」だからなんですよ。
サンゴよりも魚に重点を置いているから。

ミドリイシの先端がピンクになろうが、ブルーになろうが関係ありません。まあ一時期、SPSの色揚げとかにも凝ったことがありますが、ありゃあただの気の迷い(笑)。また再びミドリイシの飼育に夢中になることは無いかも。水槽で普通に飼えることがわかっただけでいいや(^^; ぶっちゃけ、お金かけてシステム組めば、ミドリイシなんて誰でも普通に飼えますよ(普通に飼えるというのと、凄い色に揚げるというのは別の話ね)。うんうん。サンゴだったら、LPSの方が好きだし(古いタイプのアクアリストだから(笑)。

というわけで、今後もココではミドリイシの話は出てこないと思いますよ。やってもLPSとかソフトの話ぐらいなもの。SPSの飼育や色揚げに関しては、他サイトを参考にされると良いかと。ミドリイシのことなら、今は良いサイトが結構ありますしねぇ。

やっぱり、水槽の主役は魚でしょ。
といっても、サンゴが嫌いなワケじゃないですよ。
自分の水槽も、魚が泳ぐ背景として、綺麗なサンゴを維持してますしね。
サンゴが主役という水槽も、それはそれで普通にアリだし。
ともかく、今後もこのブログでは、魚を中心に紹介していきますよ。
なので、サンゴの記事は期待しないで下さい。

飼えそうで飼えない魚

2007年10月15日 14:38

普通に飼育できそうなのに、結構手こずる魚、なにげに難しい魚がいる。今回は、そんな意外に難しい魚を、ちょっと紹介。

・シグナルフィッシュ
一時期ちょくちょく入荷のあった小型魚。感じとしては比較的餌を食べそうに思えるが、実はほとんど餌を食べずに消えて行く。意外な飼育難易度の高さからか、いまでは入荷がほとんどストップしている。

・ドワーフシグナルゴビー
遊泳性の小型ハゼ。アオギハゼやサツキハゼのように、餌付けは簡単に思えるが、これが結構クセもの。孵化したてのブラインやコペポーダは食べたりはするものの、食べる量が少なくてすぐに痩せてしまう。餌食いでは問題ないハゼたちだが、本種だけはかなり難しい。

・ベラギンポ
細長い体が特徴の、トラギスに近縁な魚。オスの色彩は美しくて観賞価値が高いが、入荷は少ないマイナー種。人工餌はほとんど食べず、生きたイサザアミや小型のハゼなどを捕食するため、餌の供給が難点。また、調子が良いと砂に潜っていたりするため、あまり観賞できない。調子が悪くなると砂から出てぐったり・・・。飛び出しも多く、扱いが難しい魚だ。

・クログチニザ(ミミックタン)幼魚
丈夫そうな感じだか、餌食いがいまいち悪い個体がいたり、こまめに与えないと痩せ細ってしまったりする。初期の対処を誤ると、短期飼育になりやすい魚だ。

・ヒフキアイゴ
これもクログチニザ幼魚と同じく、小さいうちは痩せやすい。こまめな餌やりで、痩せさせないようにしないと危ない。いったん太ってしまうと大丈夫。

・シチセンベラ
餌付くことは餌付くのだが、何故かあまり長生きしないことが多い。餌のバリエーションに問題があるのかも? 混泳では打たれ弱い面もある。

・レモンチョウ
トゲチョウと同じ仲間なので、飼育しやすそうなイメージがあるが、実際は神経質で餌付けが難しい。長期飼育例も少ない。

・ナミチョウ
磯採集ではポピュラーな魚。しかし、飼育面では順調に成長させることが難しく、長期飼育も難しい部類に入る。また、体形の維持という点も結構難しい。

・レンテンヤッコ
餌付きやすくて飼育しやすい部類だが、意外に3年以上長期飼育されることが少ない。水温や餌の関係かもしれない。

最近の水槽管理状況

2007年10月09日 21:57

・メインタンク
収容魚種(120cm水槽)、マクロスス(13cm)、ニシキヤッコ(11cm)、ルリヤッコ(8cm)、オレンジフィンアネモネ(11cm)、エレガントコリス(14cm)、リーデントラス(12cm)、イヤーマフラス(8cm)、キンチャクフグ(7cm)
収容魚種(90cm水槽)、ケーブアンティアス(8cm、8cm、7cm)、カシワハナダイ(6cm)、オシャレハナダイ(6.5cm)、ヨコヤマハナスズキ(7cm)、ディビデッドラス(7cm)

120×70×60cmと90×45×45cmの二つの水槽が配管で接続されている。サンプは共用。岩や砂を覗いた総水量は、約550リッター。いまのところ、およそ10日に1度の割合で300リッターを換水(1度に作れる海水が300リッターのため)。魚が多いため、リン酸が出る。そのためフォスフェイト・コントロール(BH店にて入手)を適宜添加して除去。リン酸は高い時で1ppmぐらいのときもあるが、LPSがメインなので、あまり問題ないと感じる。こんな状況でも、コモンサンゴやハナヤサイは普通に成長。丈夫なサンゴだ。スキマーはH&S850を2台使用。リアクターはコラレンのLR-1。

・小分け水槽
収容魚種、エスクマイヤーズ・スコーピオン(17cm)、ツノダルマオコゼ(17cm)、タッセルドウッビイゴング(27cm)、レッドストライプホグ(11cm)、ペパーミントラス(6cm)、メニイスパインドエンゼル(6cm)、ペルクラ(6cm)。これに加え、現在は預かりとして、ブラックバンド、ココス、ダイダイ、キャンディーペアを収容。

総水量250リッター。大小4つの水槽を繋げてある。濾過はウェットで、リングろ材を使用。換水は生体の様子をみながら不定期。換えるときは1度に200リッターを交換。魚は多いが、動かない魚は餌をあまり食べない(食べさせない)ため、水の悪化はさほどではない。が、預かり魚の分だけ増えたため、今後は換水間隔は短くなるだろう。

何度も飼いたい魚

2007年10月04日 23:12

一度も飼った事がない魚もいれば、何回も飼育してしまう魚もいる。この魚、いい魚だよなあ、と思う種類は何回も飼ってしまう。今回は、思い入れのある魚について。

■ベルス(オーネイト・エンゼル)
メスの体色がスタイリッシュでいい。ちょっと地味系なオスも、結構いい色していると思う。ゲニカンにしてはサイズもそう大きすぎず、飼育しやすいのもいいところ。いまは入れられる水槽が無いが、またトリオとかで飼育してみたいヤッコだ。できればタヒチ産のが欲しい。

■マクロスス
大型ヤッコでどれかひとつを選べといったら、迷わずマクロススを選ぶ。そして、選ぶなら青みが強くて美しく、ヒレの伸びも良い東アフリカ産に限る。大事に育てれば、これほど綺麗になるヤッコもいないだろう。クイーンなんかだと、体色の現状維持が目標になるが、マクロススは色揚がりが楽しめる点が非常にいい。いまも東アフリカ産の個体を飼育中。幼魚から導入し、未成魚サイズへと成長してきたので、今後が楽しみ。

■オレンジフィン・アネモネフィッシュ
クマノミ類の中では最も好きな種。濃いオレンジ色、青く輝くバンドが素晴らしい。尾ビレは白いタイプが個人的にベスト。入荷状態が悪く、長期飼育できたのは、今までたったの1ペアのみ。現在、黒みの強いニューギニアタイプを飼育中。導入当初に駄目になりかけたが、なんとか復活。このまま長期飼育したいところ。

■テングチョウ
チョウチョウウオの中では最も好きな種。模様がなんともいい感じ。海中でも実際に観察し、良いチョウチョウウオだなぁ、と思った。雑食性で飼育しやすいところも良し。近縁のガーディナーズ・バタフライも好み。いまはチョウチョウウオが安心して飼育できる水槽が無いが、いつかまた飼育してみたい。

■オセレイトラス
初入荷当時、ついに入手できて本当に嬉しかった魚。いまは当時の10分の1の価格に下落したが、この魚の魅力が変わるわけではない。むしろ、入手しやすくなったのは、さらに嬉しいことだ。カラフルなベラの中でも、実に美しい種類だと思う。ただし、良い状態でじっくりと飼育しないと、このベラの本当の美しさは分からないだろう。また飼育したいと思う、いい魚である。

■ローンボイド・フェアリーラス
イトヒキベラの中でも上品な色合いの種で、大型のオス成魚は非常に綺麗。この魚は大きく育てないと、本来の魅力を発揮しない。以前飼育した個体は13cmほどと大きかったが、とんでもなく綺麗な発色をしていた。最も好きなイトヒキベラだ。

■レッドストライプ・ホグフィッシュ、ペパーミントラス
どちらも、白と赤のストライプが美しいベラ。綺麗だが、性格がきついところが難点。しかし、暗い水槽で状態良く飼育すると、なんとも言えない魅力がある。個人的には、このフタホシキツネベラ・グループのホグフィッシュは、どれも好みで飽きない。

■ハナゴンベ
小さい個体は可愛らしく、大きな個体はゴージャスで美しい。しかも案外タフで、ハナダイとしては飼育しやすいのが良いところ。また、何故か水槽内では成長が遅く、長期飼育しても目立った成長をみせないことが多い。この点も好ましい。いまはケーブアンティアスやオシャレハナダイがいるので無理だが、そのうちまたハナゴンベは飼育したいと思っている。

■ラスバス(ラッセバス)
大きくなるせいで、いまひとつな人気のリオプロポマだが、成長した個体はかなり綺麗になる。この魚が綺麗になるのは大きくなってからで、小さい幼魚はパッとしない。10cm以上に成長した個体は、なんとも言えない精悍さで格好良い。気が強く、何でも食べてしまうのが難点だが、機会があればまた飼育したい魚だ。

■キンチャクフグ類
なにげに好みで、実はキンチャクフグのコレクションをしようと真剣に考えた時期がある。小型で、綺麗な種類が多いのがいい。飼育は簡単なようでいて、注意しなくてはいけない点などもあり、そのあたりも奥深いところ。現在は2種を飼育中。先日、ハナキンチャクフグが飛び出して干物になったのが痛い。

今後飼育しない魚

2007年10月02日 23:51

海水魚を星の数ほど飼育してきたが、いまだに飼育したことのない魚がいる。しかも、誰もが知っているメジャー種が何種類も。そういった魚は、たぶん今後も飼育しないと思う。また、以前は飼育したことがあるものの、今後おそらく飼育しないだろう魚もいる。メモがわりに書いておいてみよう。

■コンスピ
昔から高級魚として有名。以前は大きな個体しか来なくて、あまり飼育意欲が湧かなかった。そうこうしているうちに、全く飼育したくなくなってしまい、現在に至る。キートドントプルスでは、ホシゾラやチリメンは、またいつか飼育してみたいと思っているのだが・・・。

■レスプレンデント・ピグミーエンゼル
小型ヤッコマニア垂涎の的。昔は1匹、たったの25000円だった。それでも買わなかった。理由は、あんまり好みじゃないから。当時、同じく人気だったマルチカラーは40000円ほどで、これは好きだったから買った。今後もしレスプレが大量に養殖されて、価格が下がっても、やっぱり買わないと思う。

■ブラバン
以前はちょくちょく飼育していたが、もう10年近く前から入手していない。何匹か飼育して、ちょっと興味が薄れてしまった。近年は価格が高騰し、とても気軽に入手できるような魚ではなくなってしまったため、さらに飼育意欲は減退。現地では数がだいぶ少なくなっているらしいし、そろそろ採集禁止にして数を回復させた方がいいんじゃないかなぁ。そのうち、本当に採れなくなりそうな気がする。

■クラリオン
その昔、恐ろしい数が入荷し、タタキ売り状態に。頼むから買ってくれ(当然格安)と言われたこともある。余りの数にゲンナリしてしまい、飼育したいとも思わなくなった(笑)。

■クイーン
何だかいまひとつ好きになれない。ブルーの方がよっぽど好み。
(クイーンの色彩は綺麗なんだけどね)

■フレンチエンゼル
模様が好きになれなかったのが一番の理由。グレーは好きで、何度も飼育した。

■レンテン
何匹か飼ったんだけどね・・・。綺麗なんだけど、何度も飼いたいという魅力は、あまり感じないまま終了。

■キャンディーバスレット
私がこれを飼育したことがないと言ったら、驚く人もいるのでは? 周りに飼っている人が大勢いるので、もうお腹いっぱい、というのが正直なところ。どちらかというと、スイスガードや、オレンジストライプの方が好きというのもある。

■ハナグロ、オウギ、ハクテンカタギ
難しすぎ。水槽で飼育する魚として不適切。
(といいつつ、飼育してしまうのが魚好きの悲しい性。でも本当に難しいので、飼育の際は十分覚悟を)