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ニセクロスジギンポ

2010年12月17日 00:03

ホンソメワケベラの記事と併せて読んで下さい。

Astae_u0-cebu.jpg
下向きの口に注目。(photo/J.E.Randall)

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背ビレ、尻ビレの色彩に注目。(photo/J.E.Randall)

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南太平洋産は、黄色い斑紋までそっくり。(photo/J.E.Randall)


学名:Aspidontus taeniatus Quoy & Gaimard, 1834
和名:ニセクロスジギンポ
英名:フォールス・クリーナーフィッシュ False cleanerfish
全長12cm
東部太平洋を除く太平洋に分布

ホンソメワケベラに酷似した姿を持つギンポの仲間。本種の食性は他の魚のヒレや皮膚で、他魚に接近してはかじり取る。この仲間は、どれも同じ食性をしている。中でも本種はホンソメワケベラに擬態することで他魚を安心させ、容易に接近してヒレなどをかじることができる。その擬態ぶりは見事で、あまりにもそっくりなために、よく知らない人は完全にホンソメワケベラだと思ってしまう。南太平洋のものは、黄色い斑紋まで持っているほど。そんな見事な擬態だが、区別する方法はある。第一は口で、ホンソメワケベラでは前方に口が開くが、本種は下方に口が開くので区別できる。ホンソメワケベラと本種の画像を見比べていただきたい。第二はヒレ。ホンソメワケベラは背ビレ、尻ビレに透明な部分が多いのに対し、本種のヒレは透明な部分がなく、色が付いているのですぐに分かる。また背ビレの長さも異なる。しかし、ヒレは広げていないと分かりづらいので、口の付き方で見分けるとよい。

ホンソメワケベラに混じって入荷するが、個体数が少ないのか、見かけることは稀。ホンソメワケベラだと思って買ったら本種だった、という例もあるので、購入時は一応気を付けた方がいい。特殊な食性だが、人工餌に慣れれば長期飼育は可能。もっとも本種のような厄介な魚を、積極的に飼育しようという人は滅多にいないだろう。

種小名は『帯』という意味で、本種の黒いラインにちなむ。英名は『偽のクリーナー』という意味。和名はクロスジギンポ Aspidontus dussumieri に模様が似ているところから。
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