
(photo/J.E.Randall)

オス個体。(photo/J.E.Randall)

メス個体。(photo/J.E.Randall)
学名:
Pterosynchiropus splendidus (Herre, 1927)
和名:ニシキテグリ
英名:マンダリンフィッシュ Mandarinfish
全長7cm
西部太平洋に分布
非常に派手な色彩をした小型種。多くのネズッポ類は、砂泥地や砂礫底を主な生活圏としているため、体型は上から押しつぶしたような扁平な体型をしている。しかし本種とスポッテッドマンダリンフィッシュ
Pterosynchiropus picturatus の2種は、どちらかというと普通の魚の体型に近い。これは熱帯域で、ミドリイシなどのサンゴの隙間に入り込んだりするために都合のよい体型である。他のネズッポのように扁平な体型では、そのような場所に入り込めない。生息場所に適応した体型変化といえるだろう。本種は他の小型ネズッポ類と同様、ヒレの形状でオス・メスが判別できる。オスは第一背ビレが伸長するのに対し、メスでは全く伸長せず、小さい。またオスは第一背ビレだけでなく、各ヒレもメスより大きくなり、体型も大きい。メスはオスより小さく、体型がふっくらとする。日没時にペアが寄り添って海面方向に上昇し、産卵することが知られている。食性はゴカイや小型甲殻類などの底性小動物。
観賞魚としては非常にポピュラーで、ほとんどどこでも見られると言っていいほど。価格も安価で入手しやすい。しかし飼いやすいかというと、そうでもない魚である。基本的な飼育はミヤケテグリの記事を参照のこと。どのネズッポでも問題となるのが初期の餌付け。入荷して間もない、まだ痩せていない個体を入手して、素早く餌付けてしまいたい。まずは冷凍餌あたりから始めてみるのがよい。餌付いたら人工餌を混ぜていく。人工餌に完全に慣れてしまえば、あとは心配いらない。餌付き後は混泳魚に注意すれば、長期飼育は比較的たやすいはずである。
※本種はストレスを受けると、有毒な粘液を分泌することがある。おそらく同居魚にしょっちゅう突かれたり、体調が悪く死にそうな場合などだと思われる。事例としては少ないが、このようなこともあるので注意しておいた方がいいだろう。(情報提供:delphinus氏)
この事例に関する参考文献
Debelius, Helmut, & Baensch, Hans A., Marine Atlas, 1994, Tetra Press.
Dakin, Nick, The Marine Aquarium Problem Solver, 1996, Tetra Press.
Cy, Dr. Barb & Todley, Green Mandarin (Synchiropus splendidus), 2005
種小名は『光彩のある。華麗な』といった意味。美しい体色に由来したものである。英名は本種のオレンジ色が、おそらくマンダリンというミカンの一種の果実の色を、連想させるところから付いたのではないかと思われる。和名はその派手な体色に由来。
※英名について。
この種のエキゾチックな体色を、科挙で登用された官僚(科挙官僚=Mandarin)が着る服に見立てた物(情報提供:delphinus氏)。こちらの方が正しい由来とされる。
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