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ニセボロカサゴ

2008年07月09日 00:49

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ハワイ産の個体。(photo/J.E.Randall)

学名:Rhinopias xenops (Gilbert, 1905)
和名:ニセボロカサゴ
英名:ストレンジアイド・スコーピオンフィッシュ Strange eyed scorpionfish
全長20cm
南日本温帯域、ハワイ諸島に分布

ボロカサゴに似ているが、胸ビレの軟条数、吻の形状が異なる。また、ボロカサゴに比べると皮弁は少なく、目の上の皮弁は、ごく小さい。ただしハワイ産のものは、目の上の皮弁が日本産に比べて発達している。背ビレ棘条部の切れ込みが、ボロカサゴに比べて少ない点も特徴。日本では水深20m以深から見られるが、ハワイではより深く、水深60~120mの範囲でないと見られないとされる。

ごく稀にハワイから入荷するのみ。ハワイから入荷すると、かなりの高額になる。なお、輸入されるボロカサゴの皮弁の少ないものや、エッシュマイヤーズ・スコーピオンフィッシュ Rhinopias eschmeyeri が、ニセボロカサゴの名で流通することがあるので注意。飼育はボロカサゴに準じる。

種小名の意味は、調べた限りでは不明。和名はボロカサゴに似て非なるところから。英名は、見る角度によって変わる目の色に由来。
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ボロカサゴ

2008年07月08日 01:21

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(photo/J.E.Randall)

学名:Rhinopias frondosa (Günther, 1892)
和名:ボロカサゴ
英名:ウィーディー・スコーピオンフィッシュ Weedy scorpionfish
全長23cm
インド洋・西部太平洋域に分布

変わったカサゴの仲間で、体は左右から押しつぶされたように薄い。全身に皮弁を持ち、海藻など周辺環境に溶け込みやすくなっている。皮弁はカサゴのような待ち伏せ型の捕食魚にとって、餌となる小魚を騙す良い小道具である。本種が海藻の中に入り込むと、パッと見ただけでは分からない見事な擬態をみせる。赤系の個体は紅藻に、褐色、黄色系の個体は褐藻に似せているものと思われる。日本では深い水深帯でみられるが、熱帯域では比較的浅い場所でもよくみられるようだ。単独、あるいはペアで行動する。主に小魚を主食とするが、エビ類も好んで食べる。

以前はほとんど入荷が無かったが、近年になって比較的よく輸入されるようになってきた。最近では価格も随分と下がっている。詳しい飼育方法はボロカサゴ類飼育法を参照のこと。

種小名は「葉の多い」という意味で、多数の皮弁を葉に見立てての命名。和名はボロをまとっているような外見から。英名の Weedy は「雑草がはびこった」という意味で、やはり多数の皮弁が由来。

ツノダルマオコゼ

2006年08月13日 01:56

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学名:Synanceia horrida (Linnaeus,1766)
和名:ツノダルマオコゼ
英名:ホリッド・ストーンフィッシュ Horrid Stonefish
全長30cm
インド洋・西部太平洋域に分布

よく見られるオニダルマオコゼの近縁種。オニダルマオコゼによく似ているが、目の後方が大きくえぐれている点で区別できる。波静かな砂底域やラグーンに棲み、汽水域にも進出する。このあたり、サンゴ礁を主な生活圏とするオニダルマオコゼとは異なっている。背ビレには強力な毒を持っており、刺されると命を落とすこともある。刺された場合はオニオコゼの場合と同様に、熱い湯による毒の熱分解をしつつ、救急車を呼んだ方がいい。

輸入はごく稀で、オコゼ類としては高額な種である。稀な種ではないが、おそらく生息域が主な海水魚の採集ポイントとズレているためだろう。きわめて丈夫な魚で、生きたエビや小魚を好んで食べる。馴れれば冷凍したエビや魚を食べてくれるようになる。個体によっては、クリルにまで餌付けることができる。小型個体は全身が黒っぽいが、成長と共に体側にオレンジ色が出てくることが多い。中には全身がオレンジ色をした個体もみられる。

和名は、目の上がツノ状に突出しているところから。英名の horrid は「恐ろしい」という意味。由来はその表情からなのか、強い毒からなのかは不明。種小名は、ラテン語では「粗暴な・物凄い」という、やや英語とは違った意味合いになる。

ヒメオニオコゼ

2006年07月21日 20:09

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学名:Inimicus didactylus (Pallas 1769)
和名:ヒメオニオコゼ
英名:スパイニー・デビルフィッシュ Spyny Devilfish
全長16cm
西部太平洋域に広く分布

食用で有名なオニオコゼに近縁で、よく似ている。実際、オニオコゼと同種とされていたこともある。しかしよく見ると頭部の形状やヒレが異なっているのがわかる。またオニオコゼが最大30cmになるのに対し、本種は20cmを超えることはめったになく、通常15cm前後である。さらにオニオコゼが温帯種なのに対し、ヒメオニオコゼは熱帯域を分布の中心としている。砂底域に多くみられ、普段は砂に半ばまで埋もれたようにして隠れている。そうやって待ち伏せし、甲殻類や小魚を捕食する。

観賞用としては、東南アジアからたまに輸入されてくる。輸入されてくるものをよく見ると、ヒメオニオコゼを含めて3種類ほど混じっていることがわかる。どれも似ているが、頭部に対する目の大きさ、また頭部の形状、胸ビレ内側の模様で区別が付けられる。飼育は特に難しい部分はなく、最初こそ生きたエビなどを与える必要があるが、すぐクリルや魚の切り身などに馴らすことができる。背ビレの棘には強い毒があるので、取り扱いには要注意。

種小名は、「指のように離れた」という意味がある。これは胸ビレの下に指状に発達したヒレの条があり、その特徴から付けられたものだろう。和名はオニオコゼより小さいことから「ヒメ」の名が付いたものと思われる。英名は他に、バンデッド・スティンガー、シーゴブリンなどの呼び名がある。

ダルマオコゼ

2006年07月21日 19:39

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学名:Erosa erosa (Langsdorf in C&V,1829)
和名:ダルマオコゼ
英名:ダルマ・スティンガー Daruma Stinger
全長15cm
南日本~ニューカレドニア、オーストラリア西部までの西部太平洋に分布

ダルマオコゼは、一属一種のオコゼ類で、オニダルマオコゼなどと近縁。比較的小型の種で、最大でも20cmに満たない。体色はベージュや褐色のものが普通だが、赤や黄色のものもみられる。砂底域に多くみられ、底性の甲殻類や魚類を捕食する。背ビレの棘には強い毒があり、これに刺されると相当な痛みと腫れに悩まされることになる。毒は熱分解性なので、万が一刺された場合は、火傷をしない程度の熱い湯に患部を浸す。刺されてすぐに対処すれば、軽度なら30分ほどで痛みが消える。冷水に浸すのは逆効果なので要注意。
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これは黄化個体。

観賞用としての入荷は少なく、近海魚に強いショップでないと、その入手は難しい。餌にはは生きたイソスジエビや、アゴハゼなどを与える必要があるが、クリルなどに馴らすこともできる。入荷時の状態にさえ注意すれば、丈夫で飼いやすい。しかし高温にはあまり強くないため、水温上昇には気を付けたい。縄張り争いのようなものはほとんどなく、複数飼育が可能である。

調べた範囲内では、学名の意味はわからなかった。和名はダルマのような外見からだろうか。英名は他にモンキー・フィッシュ、あるいは単にストーンフィッシュ(オコゼやカサゴを指す大雑把な名称)と呼ばれる。

カゴシマオコゼ属の一種

2006年07月10日 22:51

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学名:Paraploactis trachyderma Bleeker, 1865
英名:ベルベットフィッシュ Velvetfish
全長10cm
西部太平洋に分布

カゴシマオコゼ類は、多くの種が5~10cmほどと小型である。よく似た種が多く、種の同定はちょっと難しい。画像の個体の同定も、もしかすると違うかもしれない。生息水深は浅く、砂底質の環境を好む。周辺環境と見分けのつかない外見と、物陰に隠れる習性のため、なかなか見つけることができない魚だ。背ビレの棘に毒を持つかどうかはわからないが、太くて強い棘には毒がありそうに思える。小型のエビやハゼなどを待ち伏せして食べる他、ゴカイ類なども食べる。

おそらく積極的に採集されていないため、入荷はごく稀。画像の個体はインドネシア産のもの。ちなみに入荷時には既に虫の息だった。水槽飼育では、イソスジエビなどを与えるとよく食べる。しかしカゴシマオコゼ類は小型の個体ばかりなので、食べられるサイズの餌の調達が大変ではある。

種小名の trachyderma は、「trachy(ざらついた)derma(皮膚)」という意味で、本種の特徴をよくあらわしている。英名のベルベットフィッシュは、ベルベット(ビロード)に見立ててのことだろうが、あまり的を得ているとは言い難い。