2010年11月21日 12:32
2009年07月08日 13:55

幼魚個体(photo/Tetsuo)

成魚個体(photo/Tetsuo)
画像提供のTetsuo氏に感謝。
他の資料・MA誌44号、41ページ
学名:Ptereleotris kallista Randall & Suzuki, 2008
和名:なし
英名:不明
全長10cm
西部太平洋、主にフィリピンに分布
外見はフラッグテール・ダートフィッシュによく似ている。明確な違いは尾ビレで、フラッグテール・ダートフィッシュでは上下に黒い斑紋があるが、本種は尾ビレ外縁に黒いラインが入る。今までは両種は混同され、本種はバリエーション、あるいはフラッグテール・ダートフィッシュのオスなどとされていた。近年になって、新種として記載された。なお本種の記載の際、大阪のショップ、アフリカで販売されていた個体が標本として使われたのが面白い。
飼育はフラッグテール・ダートフィッシュに準じる。
本種とフラッグテール・ダートフィッシュの2匹セットをペアとして販売していたりするが、異なる種類同士なので間違い。クロユリハゼの仲間は、外見でオス・メスの判別が不能とされる。
種小名は「立派な、美しい」といった意味。本種の体色に由来。
2009年07月08日 13:35

(Photo/J.E.Randall)
学名:Ptereleotris uroditaenia Randall & Hoese, 1985
和名:なし
英名:フラッグテール・ダートフィッシュ Flagtail dartfish
全長10cm
西部太平洋に分布
青く輝く体色が美しいクロユリハゼの仲間。尾ビレの模様が特徴的で、尾ビレ上下に黒い斑紋が入る。背ビレの軟条は伸長し、各ヒレを広げた姿は素晴らしく美しい。水深18~35mと、やや深い砂礫底や砂泥底に生息する。あまり群れは作らず、単独で行動することが多い。
以前はほとんど入荷しないハゼで価格も高価だったが、近年はたまにまとまって入荷するようになり、価格もかなり安価になった。飼育そのものはさほど難しくないが、飛び出しが非常に多いので、水槽にフタは必須。わずかな隙間からも飛び出したりするので注意したい。また性格が温和なため、スズメダイやニセスズメ、中型以上のベラ、中型以上のハナダイなどとは組み合わせない方が無難。プレッシャーを受けると、岩陰から出てこなくなることも多い。
種小名は「尾の帯」というような意味で、尾ビレの模様に由来。英名も同様。ちなみにクロユリハゼの仲間は日本のアクアリウムではダートゴビーと呼ばれるが、海外ではダートフィッシュとされることが多い。
2007年07月17日 01:43

セイシェル産(photo/J.E.Randall)
学名:Nemateleotris magnifica Fowler, 1938
和名:ハタタテハゼ
英名:ファイアフィッシュ Firefish
全長:8cm
インド洋~太平洋熱帯域に広く分布
ハタタテハゼ属3種の中では、最も分布域が広い。しかしアケボノハゼのように、太平洋とインド洋とで色彩が異なることはない。3種中、最も第一背ビレが伸長するのが本種の特徴。また尾ビレの形状も、本種のみラウンドテールとなっている。大抵は単独またはペアで行動するが、小さいうちは数匹の群れをつくることもある。水深は6~70mの広い範囲でみられる。3種中、最も浅い深度でみることのできる種だ。
飼育はシコンハタタテハゼ、アケボノハゼに準じる。3種中では最も性格的に弱いため、タンクメイトはできるだけ温和な種を選びたい。病気にかかりにくい丈夫な種だが、飛び出して死ぬ例が非常に多く、水槽飼育での死亡例のトップは飛び出しである。
種小名は「素晴らしい、荘厳な」という意味。体色にちなんでいる。英名も体色から。和名は長く伸びた背ビレから付けられている。
2007年07月13日 12:22

インドネシア産(photo/J.E.Randall)

パラオ産(photo/J.E.Randall)

モーリシャス産(photo/J.E.Randall)
学名:Nemateleotris decora Randall & Allen, 1973
和名:アケボノハゼ
英名:パープル・ファイアフィッシュ Purple Firefish
全長:9cm
インド洋~西部太平洋に分布
各ヒレや頭部に紫・赤が入る、何とも豪華な体色をしている。西部太平洋産のものは、体が白いが、インド洋産のものは白い部分が黄色みがかる。第一背ビレの形状は、シコンハタタテハゼによく似ているが、たまにハタ部分が長く伸長した個体もみられる。海底付近を単独、またはペアで遊泳し、プランクトン類を捕食している。水深25~70mの範囲でみられるが、最もよくみられるのは30~40m付近。本種は本属中で最大になり、全長9cmに達する。
飼育はシコンハタタテハゼに準じる。飛び出しが多いため、水槽のフタは必須装備。性格はシコンハタタテハゼについで強い。同属同種との混泳は控えたい。また、大型ヤッコやチョウチョウウオ、大・中型ベラなどには突かれやすいので注意。
種小名は「装飾・着飾る」といった意味。体色の豪華さに由来。英名は紫色の色彩から。他にデコレイテッド・ファイアフィッシュ、エレガント・ファイアフィッシュとも呼ばれる。和名は体色の美しさを、日の出の曙に見立てて付けられたもの。ちなみにこの和名は、ハゼの研究で知られる現在の天皇が、皇太子時代に名付けたものである。
2007年07月11日 19:05

マーシャル産(photo/J.E.Randall)

小笠原産(photo/J.E.Randall)

タヒチ産(photo/J.E.Randall)
学名:Nemateleotris helfrichi Randall & Allen, 1973
和名:シコンハタタテハゼ
英名:ヘルフリッチズ・ダートフィッシュ Helfrich's dartfish
全長:7.5cm
南日本・小笠原、及び中・南部太平洋に分布
紫色の体色が美しい遊泳性の「ハゼ」。本種を含めたハタタテハゼの仲間は、いわゆるハゼ科ではなく、近縁のオオメワラスボ科に分類される。オオメワラスボ科には、他にクロユリハゼの仲間やサツキハゼの仲間、リボンゴビー、ワームゴビーなどが含まれる。いずれも遊泳性の種だ。本種には色彩変異があり、頭部の模様が異なるバリエーションがある。マーシャル産などは黄色い頭部が特徴的だが、南太平洋のクック諸島やタヒチには、頭部の黄色みがなく、ピンク色の濃い個体群がいる。専門誌では時として別種扱いをする場合があるが、分類上は同種となっており、単なる色彩変異と考えられている。なおトンガの個体群は、両パターンの中間的な頭部模様を示す。生息水深は深く、30~70mの範囲。40m前後の水深で,最もよくみられる。
観賞魚として紹介されたのは比較的近年だが、最近は入荷量が増え、ショップで普通にみられる高級魚のひとつとなった。飼育自体はそう難しいものではなく、餌付きやすく飼いやすいといえる。ただし、深場の魚ゆえに高水温は禁物だ。また、驚いて水槽外に飛び出す事故が多いため、フタや飛び出し防止フェンスなどの対策が必要になる。温和で、他の魚に攻撃をしかけることはなく、むしろ他魚に追われたりしないかどうかに気をつけなくてはいけない。しかし、こと同属同種となると性格は一変し、苛烈なまでの攻撃をしかける。したがって、ペア以外の同属同種との混泳はできない。外見上は雌雄の区別がないため、人為的にペアを組ませることは不可能。ペアを組ませるには、数匹を導入してペアを形成することを期待するしかない。が、その試みは大抵が失敗し、最終的に1匹しか残らないことがほとんど。ハタタテハゼ属の3種のうち、本種は最も性格がきついため、ペア形成はかなり難しいといえる。
深場の魚の割には入荷状態がよく、減圧症の心配も少ない。小型種で口もそれほど大きくないため、餌はフレークフードや顆粒状のものが適している。サンゴには影響を与えないため、落ち着いた状態のサンゴ水槽で飼育するのが最適。寿命は短く、長く生きても3年程度である。
種小名は人物名。和名は「紫紺」で、体色にちなむ。英名は種小名から。日本のアクアリストには「パープルファイア・ゴビー」の名で親しまれているが、これは日本のアクアリウム界でのみ通用する通称名。
2006年11月21日 23:21

海中写真(photo/J.E.Randall)

標本個体(photo/J.E.Randall)
学名:Signigobius biocellatus Hoese & Allen, 1977
和名:なし
英名:ツインスポットゴビー Twinspot goby
全長10cm
西部太平洋に分布
背ビレに非常に特徴的な模様を持つ、ベントス(底性小動物)食性の小型種。単独、またはペアで行動し、砂泥質の海底にある石の下などをすみかとする。背ビレを立てて、体を前後に動かす独特な行動を見せる。
観賞魚として人気の高いハゼだが、その飼育は決して容易ではない。ハゼの中ではトップレベルの難易度で、ビギナーあたりが簡単に手を出してはいけない魚だ。水槽はそう大きい必要は無いが、水質はサンゴが飼えるほどのレベルで維持したい。サンゴ水槽に繋がった、リフィージウムでの飼育が最適だ。細かな砂を敷き、適当な隠れ家を用意する。タンクメイトはベニハゼなどにとどめておき、ほぼカニハゼ専用水槽としておくのがベスト。餌は顆粒状の人工餌を、底に撒いておくと食べる。細かな冷凍餌の使用もいいだろう。小さな個体ほど餌切れに弱いため、こまめに与えるのが望ましい。知る限りでの飼育最長記録は半年で、多くのアクアリストが1ヶ月程度の短期飼育しかできていない。
種小名は「二つの小さな眼」という意味で、背ビレの模様を指している。英名も、背ビレの模様に由来する。カニハゼという名は通称名で、日本には分布しないために正式な和名ではない。背ビレの眼状斑と、独特の行動がカニのように見えるために、この通称が付けられた。
最近のコメント