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マダラハナダイ

2008年04月26日 00:13

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(photo/J.E.Randall)

学名:Odontanthias borbonius (Valenciennes, 1828)
和名:マダラハナダイ
英名:チェックド・スワローテイル Checked swallowtail
全長16cm
インド洋~西部太平洋に分布

名前の通り、体に入る斑模様が特徴の大型ハナダイ。斑模様は気分によって色調が異なり、明るくなったり、暗色化したりする。この仲間は雌雄で体色に差が無いのも特徴で、この点でキンギョハナダイなどと異なる。口は大きく、甲殻類や小魚を捕食している。水深30~50m程度の深さでは数は少なく、100m以深に多い。単独、あるいは少数でいることもあれば、大きな群れを作ることもある。

観賞魚としては、以前よりごく少数が入荷していたが、最近になってインドネシアから数多く入荷している。22~23℃ほどの低めの水温を保てば、餌は何でも食べて飼育は容易。強い照明を当てると、せっかくの体色が日焼けすることが多いので注意したい。入手の際は、減圧症が出ていないかどうかをチェックする。採集時の減圧が不十分なことがあるので、十分に気を付けたい点だ。口が大きく肉食性のため、ベニハゼやグラスシュリンプとの同居はできない。気が強い面があるので、ハナダイ同士の混泳に注意。

種小名は「ブルボン島」の意。最初の発見がブルボン島(現モーリシャスのレユニオン島)であることにちなむ。英名は特徴的な模様から。和名も模様に由来する。

Odontanthias elizabethae

2008年04月23日 23:39

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全長5㎝ほどの幼魚個体(photo/J.E.Randall)

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成魚(photo/J.E.Randall)

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18㎝ほどの成魚(photo/J.E.Randall)

学名:Odontanthias elizabethae Fowler, 1923
和名:なし
英名:不明
全長22cm
ハワイ諸島、ジョンストン島に分布

ハワイ固有種といってもいい大型ハナダイ。素晴らしく伸びる尾ビレが特徴。水深100~300mの深さに生息し、詳しい生態はわかっていない。画像の標本個体からは生時の体色はわからないが、魅力的な色彩のようだ。従来、本種はHolanthias属(バラハナダイ属)に分類されていたが、Randall博士とHeemstra博士がOdontanthias(イッテンサクラダイ属)への統合を提唱し、日本の研究者もこれに倣っている。本ブログでも、それに従うものとする。

この仲間はどれも深海に生息するため、アクアリウム用として出回ることはまずない。近年、同属のマダラハナダイが、やっと数多く入荷した程度。ちなみに、MA誌47号には本種の模型が掲載されている。

種小名は人物名にちなむ。

キャンディー・バスレット

2008年02月08日 16:32

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ペア(POE氏所有魚)

学名:Liopropoma carmabi (Randall, 1963)
和名:なし
英名:キャンディー・バスレット Candy basslet
全長9cm
フロリダ、カリブ海、ブラジルに分布

非常に美しい体色を持つハナスズキ。色合いの派手さを除けば、模様はスイスガードにとてもよく似ている。また、太平洋産のオレンジストライプ・バスレットにも似ている。生息水深は、最も浅い場所では15mの場所で記録があるが、通常は50m以深に多い。また、100mより深い場所でもみられる。

観賞魚として紹介されてから、その美しさからアクアリスト垂涎の的となっている。価格はかなり高いが、状態の良いリーフタンクを持っているならば飼育は難しくない。飼い込むと色彩は濃くなり、相当綺麗になる。その体色もさることながら、明るい水槽でも日焼けしない点が、リーフタンクのキーパーには受けている。

種小名は、Caribbean Marine Biology-station(カリブ海洋生物研究所)の頭文字を取って付けられた。珍しいタイプの種小名といえるだろう。英名は、飴菓子に似た模様であるところから。

ペパーミント・バス(スイスガード・バスレット)

2008年02月08日 16:05

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(photo/J.E.Randall)

学名:Liopropoma rubre Poey, 1861
和名:なし
英名:ペパーミント・バス Peppermint bass
全長9cm
フロリダ、バミューダ、カリブ海に分布

くっきりとしたストライプ模様が美しい種。背ビレ、尻ビレ、尾ビレには、ケーブバスと同様に黒斑が入る。水深3~50mの範囲でみられるが、20m以深でよくみられる。大西洋産のハナスズキとしては、最も一般的な種であると思われる。

観賞用として古くから親しまれる種。最近では派手な色彩のキャンディー・バスレットの陰に隠れがち。しかし状態良く飼育すると、なかなかどうして魅力的な色彩を見せる。ハナスズキとしては比較的入手しやすい価格であり、複数飼育の機会もある。ペア飼育して楽しみたい魚だ。明るい水槽でも、あまり日焼けしないのもいいところ。

種小名は「赤い」といった意味で、赤っぽいラインに由来するものと思われる。英名は、その模様から。日本のアクアリストには、もうひとつの英名であるスイスガード・バスレットの呼び名で親しまれている。スイスガードの名の由来は、バチカンのスイス近衛兵のコスチュームに模様が似ているところから。

ケーブ・バス

2008年02月08日 15:31

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(photo/J.E.Randall)

参考画像
ケーブ・バス幼魚

学名:Liopropoma mowbrayi Woods & Kanazawa, 1951
和名:なし
英名:ケーブ・バス Cave bass
全長9cm
フロリダ、バミューダ、カリブ海に分布

やや赤みがかったピンク色の体色が特徴。体に模様は無く、吻から目にかけて黄色が入るところと、背ビレ、尻ビレ、尾ビレに入る黒斑が模様らしい模様である。参考画像にあるように、ごく小さいうちは背ビレ棘条が著しく伸長し、クダクラゲに似た形状をしている。これは浮遊期で、クラゲに擬態し、捕食を逃れているものと思われる。生息水深は30~60mの範囲。英名の通り、洞窟状の場所でよくみられる。

観賞魚として以前から入荷しているが、常に入荷量がわずかで、なかなか見られない種である。水温低めの、状態の良いリーフタンクであれば、本種の飼育は難しくない。しかし上品な体色を維持するには、メタハラの照射は厳禁。明る過ぎる環境だと、あっという間に黒ずんでしまう。ブルー系蛍光灯のみの薄暗い環境が最適だ。

種小名は人物名。英名は生息場所に因む。

アフリカン・リーフバスレット

2008年02月03日 01:04

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(photo/J.E.Randall)

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(photo/J.E.Randall)

学名:Liopropoma africanum (Smith, 1954)
和名:なし
英名:アフリカン・リーフバスレット African Reef-basslet
全長8.5cm
インド洋に分布

インド洋に広く分布するハナスズキ。アフリカ沿岸やモルディブに多い。赤っぽい体色に、数本のラインが入る。ラインの入り方には多少の個体差があるようだ。水深8~50mの範囲の岩陰や洞窟に生息する。詳しい生態は不明だが、他のハナスズキに準じると思われる。

日本へは近年になって輸入された。まだまだ高価だが、そのうち比較的求め易い価格になるかもしれない。他のハナスズキ同様、状態のいいリーフタンクでの飼育であれば丈夫で飼いやすい。体色は焼けてしまいやすいため、蛍光灯のみの水槽での飼育が向いている。大型の個体は赤みが強くなり美しくなる。

種小名は「アフリカ産」の意。英名も同様。

ハナスズキの一種

2008年01月28日 22:11

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(photo/J.E.Randall)

学名:Liopropoma flavidum Randall & Taylor, 1988
和名:なし
英名:不明
全長8cm
中部太平洋に分布

本種も体やヒレに模様を持たない種である。全体が鮮やかな黄色に彩られ、非常に美しい。発見例はわずかで、詳しいことは何も分かっていない。生息水深は深いようで、50mよりも深いところで採集されるらしい。

日本へは以前、クック便で1匹のみが入荷したことがある。その個体はマリンアクアリスト誌に掲載されたこともあるので、写真を見た人もいるであろう。綺麗な色彩のハナスズキであるが、今後の入荷は望めない。入荷すれば、間違いなく高い人気を得るハナスズキだ。

種小名は「黄色の、金色の」という意味。その体色が由来となっている。英名は不明。日本のマニアなアクアリストの間では、フラビニューム・バスレットと呼ばれている。