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ハシナガベラ

2012年04月10日 10:56

Wenig_u0-indonesiaのコピー
インドネシア産(Photo/J.E.Randall)

Wenig_u2-maldivesのコピー
モルジブ産(Photo/J.E.Randall)

Wenig_u5-djiboutiのコピー
ジブチ(紅海)産(Photo/J.E.Randall)
腹ビレが黒くなく、背ビレ、尻ビレの眼状斑が小さい。
また頭部と尾部のバンドも、かなり細い。

Wenig_u6-tahitiのコピー
タヒチ産(Photo/J.E.Randall)

学名:Wetmorella nigropinnata (Seale, 1901)
和名:ハシナガベラ
英名:シャープノーズ・ラス Sharpnose wrasse
全長8cm
インド洋~太平洋に広く分布

小型のベラで、性格は非常に臆病。それは海中写真があまり撮られないという点にも現れる。岩陰伝いに移動するため、なかなか人目に付かないのである。ごく小さい幼魚期には、体に4本のバンドがあるが、成長するにつれて真ん中の2本のバンドは消失し、頭部と尾部のバンドが残る。またバンドは幼魚期には白いが、真ん中のバンドが消失する頃には、残る2本のバンドは黄色く変化する。体色は、オスの方が赤みが強いとされる。分布は広いが、紅海産のものを除き、体色や斑紋に地域差はほとんどみられない。単独、またはペアで行動し、底性小動物などを食べる。全長8センチになるとされるが、そこまで大きい個体は稀。通常は5~6センチ程度である。

観賞魚として知られるようになったのは、比較的近年である。小型で温和なため、サンゴ水槽の住人として人気が高い。ただし、隠れがちな性格のため、広い水槽では姿を見る機会が少なくなってしまうことが多いのは欠点か。基本的には丈夫で、餌も何でも食べる飼育しやすい魚である。大切に飼うと、赤みの強い素晴らしい成魚になる。注意点としては、強い照明を当てると体色が黒ずんでしまうことがあるので気を付けること。

種小名は『黒いヒレ』という意味で、黒い腹ビレを指しているものと思われる。和名は小さく突き出た口に由来。英名も同じような感じで、尖った頭部形状から付けられている。
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ヒメニセモチノウオ

2011年01月20日 15:32

Pseva_u0のコピー
(photo/J.E.Randall)


学名:Pseudocheilinus evanidus Jordan & Evermann, 1903
和名:ヒメニセモチノウオ
英名:ストライエイティッド・ラス Striated wrasse
全長8cm
インド洋~中部太平洋に分布

吻からエラブタにかけて1本の白いラインがあり、体側には細いラインが多数入るが、よく見ないと分からない。ニセモチノウオと同じくサンゴ礁をすみかとするが、ニセモチノウオよりも個体数は少ないようである。広い範囲に生息しているが、色彩変異はみられない。

飼育についてはニセモチノウオに準じる。

種小名は『消失した』という意味。他のニセモチノウオのように、明確なライン模様を持たないところから付けられたと思われる。英名は『細いスジのある』という意味で、体側の細いラインに由来。和名の『ヒメ』は、どこから付けられたのか不明。その体色からだろうか。

ニセモチノウオ

2011年01月13日 10:02

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マーシャル産(photo/J.E.Randall)

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オーストラリア産(photo/J.E.Randall)

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紅海産(photo/J.E.Randall)

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ジブチ産(photo/J.E.Randall)


学名:Pseudocheilinus hexataenia (Bleeker, 1857)
和名:ニセモチノウオ
英名:シックスライン・ラス Sixline wrasse
全長8cm
インド洋~中部太平洋に分布

体側にある6本のラインと、尾柄にある小さなスポットが特徴の小型種。分布範囲は広いが、インド洋と太平洋でエラブタの模様が異なる程度で、大きな色彩変異はみられない。ニセモチノウオ類は、尻ビレ第2棘が第3棘より長くなるのが特徴。これにより近縁のモチノウオ属と区別できる。サンゴ礁に生息し、サンゴの間を縫うようにして泳ぐ。通常は単独性で、群れることはない。ニセモチノウオ類はどの種も、夜は砂に潜らず、サンゴの間や岩の隙間で眠る。主に小型甲殻類などを捕食している。

観賞魚としては非常にポピュラーで、ほとんどどこのショップでも見られるほど。小型で丈夫、餌付けの心配も無いため、ビギナーが飼育するにはうってつけの魚である。最大で8センチほどになるが、水槽内では平均6センチ程度。縄張り意識が強く、同属や似たような体型の魚とは相性が悪い。フタホシキツネベラやバスレットの仲間がそれにあたる。複数飼育は、ごく小さい幼魚期なら可能だが、基本的にできないと思ってよい。他の小型ヤッコやハギなどとの相性は割りと良く、性格がタフなのでどちらかというと、大きめの魚と組み合わせる方がうまくいく。魚以外では、カクレエビなどは食べてしまうので組み合わせられない。病気にもかかりにくく、実に手の掛からない、それでいて美しい良魚だ。なお、飛び出して干物になりやすいので、フタはしっかり閉めておくこと。

種小名は『6本の帯』という意味で、体側のラインに由来している。英名も同様。和名はモチノウオ類に似ているところから。 

ソメワケベラ

2010年12月15日 14:54

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完全な成魚。(photo/J.E.Randall)

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未成魚。(photo/J.E.Randall)

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幼魚。(photo/J.E.Randall)

学名:Labroides bicolor Fowler & Bean, 1928
和名:ソメワケベラ
英名:バイカラー・クリーナーラス Bicolor cleaner wrasse
全長15cm
インド洋~中部太平洋に分布

ソメワケベラ類中で最大になる種。色彩は特徴があり、成魚の体の前半は濃い紺色、後半が淡い黄色になる。若い個体では体色の境界がぼやけているが、完全な成魚になると、くっきりとした染め分けとなる。幼魚期は黒地に黄色のラインが入る。習性はホンソメワケベラと同じだが、本種の行動範囲はより広い。ソメワケベラ類を筆頭とするクリーナー類は、海では大きな役割を持っている。このことは、クリーナーラスを取り除いた海域では、魚の数が減少するという実験結果からも明らかである。採集する際は飼育分だけにとどめ、むやみな乱獲は避けるべきだ。

観賞魚として入荷するが、ホンソメワケベラに比べると数はずっと少ない。入荷するのは未成魚や成魚が多く、小さい幼魚の入荷は少ない。飼育は基本的にホンソメワケベラに準じる。大きな個体は餌付きにくい傾向があるため、なるべく小さめの個体を入手した方がいいだろう。

種小名は『2色の』という意味。成魚の色分かれした体色に由来。英名、和名も同様。

ハワイアンクリーナーラス

2010年12月13日 09:05

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(photo/J.E.Randall)

Lapht_f1-johnston.jpg
(photo/J.E.Randall)


学名:Labroides phthirophagus Randall, 1958
和名:なし
英名:ハワイアン・クリーナーラス Hawaiian cleaner wrasse
全長10cm
ハワイ諸島、ジョンストン島に分布

ほぼハワイ固有種といっていい種。ソメワケベラ類では唯一、日本で確認されていない種でもある。体色は、体前半が黄色、後半が濃いブルー、尾ビレ上下がピンクに彩られ非常に美しい。別名レインボー・クリーナーラスと呼ばれるほどだ。画像は2枚とも標本個体だが、生時の色彩は鮮やかで濃い。幼魚期は黒地に赤紫のラインが入り、他の種と間違えることはない。生態はホンソメワケベラに準じる。

入荷量はごく少ないが、美しい色彩で人気の高い種。しかし飼育難易度はかなり高い。餌付きが悪いのが最大の難点で、いかに状態の良い個体を入手できるかがポイント。餌は人工餌を食べてくれればベストだが、なかなかそうはいかないだろう。食べてくれるなら冷凍餌でも何でも与えるべきだ。痩せやすいので、餌付いたらこまめに餌を与え、太らせるようにする。餌付いても、太らせるのに失敗したら短命に終わるので気を付けたい。これは、どのクリーナーラスにも共通する注意点である。

種小名は『寄生物を食べる』という意味で、本種の生態に由来。英名は生息地から。

スミツキソメワケベラ

2010年12月12日 00:00

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マーシャル産。(photo/J.E.Randall)

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パラオ産。(photo/J.E.Randall)


学名:Labroides pectoralis Randall & Springer, 1975
和名:スミツキソメワケベラ
英名:ブラックスポット・クリーナーラス Blackspot cleaner wrasse
全長11cm
西部~中部太平洋に分布

体前半部の黄色い色合いが美しい種。本種の最大の特徴は、胸ビレ基部にある明瞭な黒斑である。この特徴により、他のソメワケベラ類と区別できる。日本では小笠原や沖縄に分布するが、数は少なく、見かける機会のない稀種。性質等はホンソメワケベラと同様なので、そちらの記事を参照。

観賞魚としては、数は少ないがポツポツと見かける。注意していれば、そう入手の難しい魚ではない。飼育はホンソメワケベラに準じ、個体の状態で餌付くかどうかが決まる。餌付いてしまえばそう難しいことはないが、長期飼育の報告を聞かない種だ。総じてホンソメワケベラ以外のソメワケベラ類は、飼育例が少なく、詳しい情報がなかなか出てこないのが難点。

種小名は『胸ビレ』という意味。胸ビレ基部に特徴があるので、そこから付けられたのだろう。英名、和名ともに胸ビレの黒斑に由来。

クチベニソメワケべラ

2010年12月03日 14:28

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タヒチ産。(photo/J.E.Randall)

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タヒチ産。(photo/J.E.Randall)


学名:Labroides rubrolabiatus Randall, 1958
和名:クチベニソメワケベラ
英名:レッドリップ・クリーナーラス Redlip cleaner wrasse
全長9cm
中部太平洋に分布

日本では小笠原の遥か東方、ハワイ寄りの南鳥島でのみ観察されている。体中央付近が淡いオレンジ色に染まるため、他種と間違えることはない。この他、唇が赤いという他のソメワケベラ属には見られない、明確な特徴がある。性質などはホンソメワケベラに準じる。

観賞魚として中部太平洋域より入荷するが、その数は少ない。クチベニソメワケベラの表記ではなく、レッドリップクリーナーラス、あるいはピーチクリーナーラスの名で流通する。輸送に弱いようで、入荷状態にばらつきがあり、状態の良いときは比較的容易に餌付くが、駄目な場合は立て直せないことが多い。また本種は長期飼育の例が知られてなく、そういった点から状態維持の難しい魚だと言えるだろう。

種小名は『赤い唇』という意味で、本種の特徴に由来。英名、和名も同様。